「まだ自分は元気だから介護予防なんて関係ない」
こんな風に思っている方も多いのではないでしょうか。
介護予防は元気ないまだからこそ行う必要があります。
なぜかというと、「予防」は悪化していかないように前もって防ぐことなので、元気なことを維持するために活動する必要があるからです。
そのため、介護予防というと高齢になってから行うイメージがありますが、自分が予防したいと思うことはいまからでも積極的に行った方がいいのです。
とはいっても、あまり現実的な話としてとらえられない人もたくさんいると思います。
そこで、介護予防がなぜ必要なのかを詳しく解説していきます。
もくじ
10年は健康上の問題を抱えて生活が必要な現状
平均寿命が延びていくなかで、10年間は健康上の問題を抱えて生活をしなければならない現状となっています。
平均寿命に比べて、健康で生活できる期間である「健康寿命」が約10年短いという調査報告が出ているからです。
[su_box title="平均寿命" box_color="#0364ff"]その時の0歳の人が、その後どれくらい生きるかを示す[/su_box]
[su_box title="健康寿命" box_color="#ffb803"]健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間[/su_box]



さらに、平均寿命と健康寿命がほぼ同じという人は、男性で1割、女性ではほとんどいないという現状となっています。


長生きしていても、思うように体が動かなかったり、頭が働かなくなったりすれば充実した生活が出来きません。
むしろ生きていることが辛くなってしまう方もいます。
また、私が介護施設にいたときには、「家族や周りの人に迷惑をかけたくない」という方が多くいました。
なるべくなら自分の力で生活をしていきたいという気持ちは、多くの方が抱いていると考えています。
ただ長生きするのではなく、いかに元気な状態で長生きできるかが大切になってきています。
健康上の問題は予防ができる
健康上の問題にはいくつか種類がありますが、その多くが予防できるものとされています。
日頃の生活習慣が原因となって、健康上の問題へとつながっている場合が多いからです。
健康上の問題で日常生活が制限される原因

運動器の障害
まず1つ目に、骨の変形や筋肉・腱の柔軟性低下による関節疾患が挙げられます。
日頃の運動不足や姿勢の乱れなどから段々と症状が出てくるので、体に大きな変化が出てくる前に予防していく必要があります。
2つ目には、転倒や骨折が挙げられます。
大腿骨頸部骨折のほとんどが転倒が原因となっています。寝たきりにつながりやすい骨折ですので、生活に与える影響も大きくなってしまいます。
転倒は、筋力の低下に伴う身体活動の低下が発生原因の1つとして挙げられます。筋力が落ちないように予防をしていく必要があります。
脳血管疾患
脳梗塞や脳出血といった病気により、健康上の問題が発生するケースです。
脳血管疾患は生活習慣の乱れによって、そのリスクが上がってしまいます。
適度な運動やバランス良い食生活などいわゆる生活習慣病の予防を行っていくことが重要となります。
生活習慣病は中年期以降に増えてくるので、中年期から予防活動を積極的に行っていく必要があります。
認知症
予防活動におけるはっきりとした効果がわかっていないのが現状です。
ただ、運動や食生活、知的活動や人や社会とのつながりなどの生活習慣は、認知機能の低下や認知症の発症に何らかの関連があるということが報告されています。
また、脳血管疾患から認知症になるパターンもあり、生活習慣病自体の予防も認知症予防には大切となります。
高齢による衰弱
加齢によって身体機能が落ちてしまうことで、生活活動に影響が出てきてしまいます。
身体機能を維持できるように運動を行っていくことや、体がやせ細っていかないような食生活などが予防活動として有効になってきます。
このように、健康上の問題は予防することが可能です。
生活習慣が積み重なって起こるものが多いので、高齢になる前から気をつけて行く必要があります。
介護予防は、何歳から始めても早いということはないのです。
介護施設に勤めていて感じたこと
リハビリを頑張っている方が多かった一方で、病気を患ってから後悔している方が圧倒的に多かったです。
いざ病気になって何かを失ったり、できなくなったりしてから、元気であることの大切さに気づく場合がほとんどだからです。
「なんでこうなってしまたんだろう」「あの時もっとこうしておけばよかった」
こんな声もたくさん聞きました。
そうは言っても、その境遇になってみなければその気持ちはわからないのかもしれません。
健康上の問題が起きてから後悔しないためにも、元気なうちにできることをやっておくことが重要です。
その1つが介護予防ではないかと考えています。
体や頭が元気なときからの予防活動が大切
元気なうちに予防活動を行っていくことで、予防活動として出来ることの幅も広がっていきます。
出来なくなったことを出来るようにするよりも、出来ることをそのまま出来るように維持していく方が簡単です。
元気なときに出来ることをそのまま出来るようにしていくことが、健康寿命を延ばすことにつながっていきます。
元気がなくなってきたから介護予防を行うのではなく、元気なままを保っていくために介護予防は必要なのです。